次の2つをまず知ることが腰痛を改善するうえで大切になります。
①腰の痛みを出している組織が何なのか?
②痛みを出している組織に負荷をかけている原因は何なのか?
この2つを知ることができれば腰痛改善に向けて1歩前進です!
では一つ一つ詳しく説明していきます。
腰の痛みを出している組織は何なのか?
腰には痛みを出す組織がたくさんあります。筋・筋膜、椎間関節、骨、椎間板、神経根、仙腸関節などがあります。これらのどの組織が痛みを感じ取っているかによって施術の仕方が違います。腰痛では特に筋・筋膜、椎間関節、椎間板、神経根、仙腸関節この5つが痛みを出すことが多いです。それぞれ特徴的な症状の出方があるので説明していきます。
筋・筋膜性腰痛の特徴
痛みの感じ方:広範囲で痛みを感じることが多い。(パームサイン=手全体でこの辺が痛いと訴える)筋・筋膜の滑りが悪い場合(滑走障害)はピンポイントで痛みを感じることもある。
痛みの出やすい動作:特に前屈み。他に反ったり、捻ったり、長時間の座位、動き出し
椎間関節性腰痛の特徴
痛みの感じ方:腰の背骨の外側約2センチの所にピンポイントで痛みを感じることが多い。(フィンガーサイン=指1本でここが痛いと訴える)左右どちらかに痛みを感じることが多いが、両側に訴えることもある。また関連痛と言っておしりの方にも痛みを訴えることもある。
痛みの出やすい動作:腰を反ることで痛みを感じることが多い。歩行時や両腕を上げるような動作、動き出しなどでも痛みを感じる。まれに前屈でも痛みを感じることがある。
椎間板性腰痛
痛みの感じ方:腰の真ん中辺りに痛みを感じることが多い。
痛みの出やすい動作:前屈、座位姿勢
神経根性腰痛
痛みの感じ方:腰から臀部、太ももにかけての痛み。場合によってはふくらはぎの外側や足先まで痛みが出ることもある。左右どちらかに症状が出ることが多い。
痛みの出やすい動作:腰を反ったり、立位や歩行を続けると痛みが出やすい。
仙腸関節性腰痛
痛みの感じ方:仙腸関節付近を指1本でここが痛いと訴えることが多い。
痛みの出やすい動作:仙腸関節性の場合はいろいろな動作で痛みが出る。
痛みを出している組織に負荷をかけている原因は何か?
今まで施術を行ってきて多く見られる原因は以下の3つです。
・股関節と背中の硬さ
・普段の姿勢や身体の使い方
・腰を支える筋肉の機能低下
これらがある状態で日常生活を送っていると腰に負荷が積み重なり結果として痛みが出てきます。
腰だけを治療するだけでは痛みを繰り返してしまう原因はこの3つが改善できていないかもしれません。
詳しくこの3つを解説していきます。
股関節と背中の硬さ
人の身体には安定していた方がいい安定性関節と可動性があった方がいい可動性関節が交互に存在しているのをご存じですか?
下のイラストを見てください。
腰は安定性が必要な関節です。
腰の上下にある背中と股関節は可動性が必要な関節です。
その背中と股関節が硬くなることで安定していた方がいい腰が過剰に動き不安定になり、関節や椎間板などに負荷がかかってしまい結果痛みが出てしまいます。
普段の姿勢や身体の使い方
腰に負担のかかりやすい姿勢や動作を日々繰り返していることで腰に負荷が積み重なり結果として痛みが出てきます。
下にあるイラストは姿勢によって腰の椎間板にかかる負荷の違いを表したものです。
実は腰の椎間板に関しては立っている時よりも座って前屈みになっている方が椎間板にかかる負荷が強いのです。デスクワークで長時間前屈みの姿勢でパソコン作業している時は常に椎間板に負荷がかかっています。それを毎日行っていたら・・・
日々の姿勢や身体の使い方を修正することはとても大切です。でもいつもの姿勢や身体の使い方が身体にしみついてしまっているので修正するのはなかなか大変です。そのために運動療法を行い正しい姿勢や身体の使い方のパターンを身体にしみ込ませていく必要があります。
腰を支える筋肉の機能低下
いわゆるインナーマッスルです。聞いたことがある方もいらっしゃると思います。
腰のインナーマッスルと言われているものが多裂筋と腹横筋です。インナーマッスルの機能は腰を安定させることです。先ほどの述べたように腰は安定していた方がいい安定性関節です。インナーマッスルの機能低下により腰が不安定になると椎間板や関節、神経に負荷がかかり続け結果として痛みが出てしまいます。
またインナーマッスルだけでなく外側のアウターマッスルも協力して働くことでより腰への負担を減らしてくれます。インナーマッスルとアウターマッスルが協調して働くことが大切です。
腰の痛みを出している組織が修復しやすい環境を作るには痛みを出している組織に対する施術とその組織に負荷をかけている原因を改善していく必要があります。そうすることで再発しにくい身体になり安心して生活が送れるようになっていきます。